クラウドファンディングには返金義務はある?事例から学ぶリスク対策

クラウドファンディングで返金しなきゃいけないケースってあるの?

クラウドファンディングで失敗した…返金は必要?

クラウドファンディングは、ネット上で不特定多数の人から資金を集め、アイデアを実現させる仕組みです。支援者の協力を得てプロジェクトを進められる一方で、場合によっては返金を求められる事態に直面することもあります。

本記事では、クラウドファンディングにおける返金義務や、返金しないための秘訣について詳しく解説します。本記事を活用して、プロジェクトを成功に導くための準備を整えましょう!

本記事の結論

・All-in方式であっても、返金義務が生じるケースもある
・プロジェクトの進捗状況に問題が生じた際には、支援者にすぐに報告しよう
・プロジェクト・リターンにかかるコストを正確に見積もり、返金対応が生じないように注意しよう!

本記事を監修する専門家①
erica

CAMPFIRE公認パートナー。東北大学文学部を卒業。100名を超えるインタビュー経験から、事業者と挑戦者を結ぶプラットフォーム「わたしば」の運営とクラウドファンディングの支援を行う。

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多様な価値観や行動を理解するべく、東北大学文学部で社会学を学ぶ。地方への旅やインタビューメディアを通して、人の人生を聴くうちに、夢に向かって挑戦する人々を応援したいと思うように。

一期一会のインタビューを超えて、長期的な支援や機会提供を行いたいと考え、「わたしば」を立ち上げ・運営している。

目次

クラウドファンディングに返金義務はある?

クラウドファンディングは、多くの人々から支援を受けてプロジェクトを実現する仕組みです。しかし、目標に到達しなかった場合に「支援金を返金する義務があるのか?」と疑問を抱く方も少なくありません。

実際には、返金の有無は、クラウドファンディングの種類や募集形式によって異なります。ここでは、プロジェクトが失敗した際の返金の仕組みと注意点について学んでいきましょう。

【返金義務は?】クラウドファンディングの種類

クラウドファンディングにはさまざまな種類があり、それぞれに特徴があり、返金の有無も異なります。以下では、代表的なクラウドファンディングの形式を紹介し、それぞれの仕組みについて詳しく説明します。

クラウドファンディングの種類と返金対応

種類特徴失敗時の返金対応
寄付型支援者にリターンはなく、
社会的な目的に対して寄付する
基本的には返金するが
例外もある
購入型支援者はリターンとして、
商品やサービスを受け取る
基本的には返金するが
例外もある
投資型支援者はリターンとして、
企業の株式や利益の一部を受け取る
返金対応が必要

寄付型クラウドファンディングと購入型クラウドファンディングには、2つの実施方式、All-in方式とAll-or-Nothing方式があります。

All-or-Nothing方式では、目標金額に達しなければ、集まった支援金を全額返金する義務があります。これに対して、All-in方式では目標金額に達しなくても支援金を受け取ることができますが、場合によっては返金義務が発生することがあります。

【All-in方式のクラウドファンディング】返金義務が生まれる原因とは?

All-in方式では、目標金額に達しなくても支援金を受け取ることができますが、それでも返金義務が生じる場合があります。主な原因は、プロジェクトの進行に問題が発生した場合です。例えば、製品の製造やリターンの配送に遅れが生じた場合、支援者が不満を持ち、返金を求める可能性があります。特に、支援者がリターンに魅力を感じて支援した場合、予定通りに届かないことは不安要素となりやすいです。

また、リターンの内容に変更があったり、品質に問題が生じたりした場合も、支援者への返金義務が生じる可能性があります。このようなリスクを避けるために、プロジェクトの進行状況を支援者に適宜報告し、丁寧に対応することが重要です。

erica

自分のプロジェクトのなかで、支援者が疑問を抱きそうな部分があれば、プロジェクト開始時にあらかじめ報告しておくことが大切です!

クラウドファンディングで返金義務が発生した事例をご紹介

クラウドファンディングでは、目標金額に達しなかった場合、返金義務が生じます。しかし、目標金額に達したプロジェクトであっても、何らかの問題が生じ返金対応を行なったケースもあります。

ここでは、クラウドファンディング自体は成功したものの、返金義務が生じたプロジェクトを2つご紹介します。

クラウドファンディング 返金義務が発生した事例
  1. 真木よう子 フォトマガジン出版プロジェクト
  2. 映画「狂気山脈 ネイキッド・ピーク」本編制作プロジェクト

真木よう子 フォトマガジン出版プロジェクト

参照:https://camp-fire.jp/projects/40020/view

2017年8月、女優の真木よう子さんは、自身のフォトマガジンを制作し「コミックマーケット93」で販売するため、クラウドファンディングを開始しました。このプロジェクトは支援総額652万円を集め成功しましたが、最終的には全額返金する事態となりました。

この問題の背景には、コミックマーケットという文化への理解不足が挙げられます。コミックマーケットは、主に個人が自費で制作した作品を頒布する場です。そのため、クラウドファンディングで集めた資金を活用して制作された作品を販売することに対し、批判が相次ぎ、炎上に発展しました。また、資金の使い道やプロジェクトの趣旨が十分に明確でなかったことも、不信感を招く一因となりました。

結果として、真木さんは支援者に謝罪し、全額を返金する対応を行いました。クラウドファンディングを実施する際には、プロジェクトが本当に必要で適切か、またその資金使途が正当であるかを慎重に検討し、透明性を保つことが重要です。

映画「狂気山脈 ネイキッド・ピーク」本編制作プロジェクト

参照:https://camp-fire.jp/projects/653933/view/activities/640777

クトゥルフ神話TRPGの『狂気山脈〜邪神の山嶺〜』で知られるまだら牛さんは、このシナリオを原案としたアニメ映画制作のため、2023年にクラウドファンディングを実施しました。以前から人気の高い作品の映画化ということで注目を集め、最終的には2億円を超える資金が集まりました。しかし、プロジェクトの進行中に一部返金対応を行う事態に至りました。

原因は、制作の難航でした。映画本編の制作を担当していたアニメスタジオがプロジェクトから離脱し、予定していたスケジュールでの完成が困難となったためです。これを受けてまだら牛さんは、希望者に対し返金対応を行うことを発表しました。

幸いにも、この作品に対するファンの支持や、まだら牛さんの誠実な対応が功を奏し、支援者の99%が「返金不要」の意思を示しました。この事例は、プロジェクトに問題が生じた際には迅速に報告し、丁寧で透明性のある対応を取ることが、支援者との信頼関係をポイントであることを示しています。

erica

どんなに準備をしていても、予期せぬトラブルに見舞われる可能性があります。支援者が不安や疑念を抱かないような、誠実な対応を心がけていきましょう!

【返金義務を発生させない!】成功するクラウドファンディングのポイント

クラウドファンディング 成功のポイント
  1. 現実的で明確な目標設定を行おう
  2. 支援者に進捗状況を定期的に報告しよう
  3. リターンは確実に提供できる設計か確かめよう

1. 現実的で明確な目標設定を行おう

クラウドファンディングでは、目標設定がプロジェクトの成否を大きく左右します。目標金額が高すぎると支援が集まりにくくなり、逆に低すぎると、プロジェクトの実現が困難になり、返金のリスクも高まります。また、目標金額の内訳が抽象的だと、支援者の応援意欲を削ぐ可能性もあります。

まずは、プロジェクトに必要な資金を細かく計算し、現実的な目標金額を設定しましょう。さらに、集まった資金が何に使われるのかを明確に説明し、具体的なイメージを支援者に伝えることが重要です。目標を設定する際は、実現可能性を慎重に見極めることで、トラブルを未然に防ぎ、支援者の信頼を得ることができます。

2. 支援者に進捗状況を定期的に報告しよう

プロジェクト運営において、支援者との信頼関係を築くためには、進捗状況を定期的に共有することが不可欠です。プロジェクトの進行に遅れや問題が発生した場合、早めに報告し、解決に向けた計画や代替案を提示することで、支援者の不安を軽減できます。

報告の際は、曖昧な表現を避け、具体的な進捗や今後の計画を伝えることがポイントです。写真や動画を活用し、視覚的に分かりやすく情報提供するのも有効です。遅延や問題が発生した場合には、迅速に対応し、支援者に丁寧に説明することで返金リスクを回避しやすくなります。プロジェクト運営において透明性を確保することは、支援者との信頼関係を深めるうえで欠かせないポイントです。

3. リターンは確実に提供できる設計か確かめよう

リターンは、支援者がプロジェクトに参加する大きな動機の一つですが、内容が実現困難だった場合、返金トラブルの原因になりかねません。そのため、リターンはプロジェクトの規模や運営能力を考慮し、無理なく提供できるものを設定することが重要です。

計画段階では、リターンにかかるコストや制作スケジュールを細かく見積もり、余裕を持ったスケジュールを組むことがポイントです。また、リターンの内容が支援者にとって魅力的であるか、プロジェクトのテーマと一致しているかも検討しましょう。過度な負担を避けつつ、支援者に満足してもらえるリターンを設計することで、円滑なプロジェクト運営が可能になります。

erica

クラウドファンディングでは、目標金額達成後も『ネクストゴール』を設定することができます。最初は現実的な目標設定をしていきましょう!

【まとめ】返金義務が生じないようにクラウドファンディングを成功させよう!

いかがでしたか?

クラウドファンディングで成功を収めるためには、プロジェクトの進行状況を支援者に適切に伝え、万が一遅延や問題が発生した際には迅速かつ丁寧に対応することが重要です。問題が生じた場合こそ、支援者との信頼関係を強化するチャンス。進捗状況をこまめに報告することによって、支援者からの理解と信頼を得やすくなります。

クラウドファンディングは、ただ目標を達成するための手段ではなく、支援者とのつながりを深める場でもあります。返金義務を負うことがないように、適切な対応を心がけながら、プロジェクトを進めていきましょう!

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