不動産のデジタル証券とは?仕組み・買い方と不動産クラファンとの違い【2026年】

不動産のデジタル証券って、不動産クラファンと何が違うの?
証券会社で買えるらしいけど、売りたいときはすぐ売れる?
不動産のデジタル証券(セキュリティトークン、ST)は、ビルやホテルなどの不動産から得られる収益を受け取る権利を、ブロックチェーン上で記録・移転する仕組みの有価証券です。証券会社や、ALTERNAのような専用のサービスで購入できます。
この記事では、大和総研のレポートと、SBI証券・東海東京証券・野村證券などの公式資料をもとに、仕組み・買い方・売り方の手数料・税金を整理しました。不動産クラウドファンディングやリート(J-REIT)との違いも、表で比べています。
この記事の結論
- 不動産STの累計発行額は2,600億円程度(2025年12月時点、大和総研)。STの発行総額の約9割が不動産
- 1銘柄で200〜300億円規模の大型案件もある(例:シックスセンシズ京都 約273億円、W OSAKA 約292億円)
- 売りたいときは、PTSの「START」か証券会社の店頭で売る。流動性は限られる
- SBI証券のSTART取引の手数料(ネット)は買い0.55%・売り2.2%(税込)。短期で売買するとコスト負けしやすい
- 特定受益証券発行信託の不動産STでは、2026年4月1日以降、利益を超える分配は元本の払戻しとして扱う形に変わった。SBI証券のST取引はNISA口座では使えない
不動産デジタル証券の仕組み
不動産STは、1つまたは少数の不動産に投資する商品を、証券の形で小口に分けたものです。東海東京証券の説明では、権利の記録と移転は分散型台帳(ブロックチェーン)で行われ、株式のような証券保管振替機構の振替制度の外で管理されます。
大和総研のレポートによると、2025年12月時点で不動産STの累計発行額は2,600億円程度で、STの発行総額の約9割を占めます。裏付けとなる不動産は、レジデンス、ホテル・旅館、物流施設、オフィスなどです。
ブロックチェーンって聞くと、暗号資産みたいに値動きが激しいの?
記録の仕組みに使っているだけで、価格は裏付けの不動産の収益や市況で決まるよ。
主な銘柄の例
| 銘柄 | 発行額(当初) | 運用開始 | START |
|---|---|---|---|
| ウェルス・リアルティ・トークン シックスセンシズ 京都(譲渡制限付) | 272.74億円 | 2026年9月 | — |
| MUFGリアルティ・トークン 大阪堂島浜タワー(譲渡制限付) | 224億円 | 2026年3月 | — |
| ケネディクス・リアルティ・トークン W OSAKA | 291.5億円 | 2025年8月 | 2026年10月1日開始 |
| 大和ハウスLogiトークン 門真・富里 | 77.31億円 | 2026年7月 | 取引予定 |
| 三井物産グループのデジタル証券 三重・イオンタウン鈴鹿 | 47.084億円 | 2024年11月 | 2025年12月5日開始 |
| ケネディクス・リアルティ・トークン KDX名古屋栄ビル | 31.4億円 | 2024年3月 | 2024年9月6日開始 |
譲渡制限付の銘柄は、STARTで自由に売買できるわけではありません。売却の方法は、銘柄ごとの書面で確かめる必要があります。
買い方
野村證券、SBI証券、大和証券、東海東京証券などの証券会社や、ALTERNAのようなデジタル証券のサービスで取り扱っています。銘柄ごとに取扱先が違います。
証券会社によっては、STの取引用の口座を開く必要があります。SBI証券はST口座の開設料・管理料を無料としています。
新しく発行される銘柄は、募集期間中に申し込みます。ALTERNAは原則10万円から購入できます。
決算ごとに分配金が支払われます。
上場ではなく、PTS(私設取引システム)のSTARTや証券会社の店頭で売ります。
売るときの手数料と流動性
STARTは、大阪デジタルエクスチェンジが運営するPTSです。SBI証券の説明書(2026年7月版)では、平日に2回(11:30と15:00)売買を付け合わせる方式で、受け渡しは約定日から3営業日目です。
| 項目 | インターネットコース(税込) | その他のコース(税込) |
|---|---|---|
| 買付 | 0.55% | 1.10% |
| 売却 | 2.20% | 2.75% |


100万円分をSTARTで買って売ると、ネットでも手数料は合計2.75万円です。分配金を年4%と仮定すると、1年持って4万円なので、1年以内に売ると手数料が分配金の大半を占めてしまいます。価格が下がればさらに不利になります。
東海東京証券も、流動性は限られ、売却の機会は保証されていないと説明しています。長く持つつもりで買う商品と考えるのが現実的です。
店頭で証券会社に買い取ってもらうと、手数料はかからないの?
別の手数料はないけど、価格の中にコストが含まれているとSBI証券は説明しているよ。
税金:2026年4月から扱いが変わった
SBI証券の説明書によると、特定受益証券発行信託の不動産STでは、2026年4月1日以降の分配で、利益を超える分配は元本の払戻しとして扱われるようになりました(それ以前は利益超過配当として配当所得の課税対象)。元本の払戻しで譲渡所得が生じることがあり、一般口座や源泉徴収なしの特定口座では、原則として確定申告が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 使える口座 | 特定口座(店頭取引の一部の銘柄は一般口座のみ) |
| NISA | SBI証券のST取引では、どの銘柄もNISA口座で取引できない |
| 分配金の支払時期 | 2026年4月の変更で、決算期末から1〜2か月後ろ倒し |
ALTERNAは、特定口座(源泉徴収あり)を選べば分配金の確定申告は不要としています。税金の扱いは商品の種類によって違うので、購入前に書面を確かめましょう。
不動産クラファン・リートとの違い
| 項目 | 不動産デジタル証券 | 不動産クラファン | リート(J-REIT) |
|---|---|---|---|
| 投資先 | 1つ〜少数の大型物件が多い | 1つの物件ごと | 多くの物件をまとめた投資法人 |
| 最低額の目安 | 銘柄による(ALTERNAは原則10万円) | 1万円からが多い | 銘柄ごとに1口の価格が違う |
| 途中で売る | STARTや店頭。流動性は限られる | 原則できない(一部サービスは換金制度あり) | 証券取引所の取引時間内に売買できる |
| 価格の動き | STARTでは売買で動く | 運用中は動かない | 毎日動く |
ALTERNAの募集中の案件は、公式サイトで確認できます。
よくある質問
デジタル証券は元本保証ですか?
元本保証はありません。不動産の収益や価値、市況、金利などで価格や償還額が下がり、損失が出ることがあります。
いつでも売れますか?
STARTでの売買は平日に1日2回の付け合わせで、相手がいなければ売れません。譲渡制限付の銘柄もあり、売却の機会は保証されていません。
ALTERNAとの違いは何ですか?
ALTERNAは、三井物産グループのデジタル証券を扱うサービスで、原則10万円から購入できます。商品の仕組みは同じ不動産STです。
まとめ
不動産のデジタル証券は、大型の不動産に小口で投資できる新しい商品で、累計発行額は2,600億円程度まで広がっています。
ただし、売りたいときの流動性は限られ、短期で売買すると手数料が重くなります。2026年4月から課税の扱いも変わりました。長く持つ前提で、銘柄ごとの書面を確かめてから購入しましょう。
